特集

2017/04/10 11:12 | wineplat

ワインのコルクで新たな楽しみを

関連タグ | , , , , ,
特集
コルクアート 久保友則
久保友則(くぼとものり)
1977年熊本生まれ。ソムリエ、コルクアート作家。2002年一般社団法人日本ソムリエ協会ソムリエ取得。2007年同法人シニア・ソムリエ取得。2017年1月までの8年間、フランスワイン専門店ラ・ヴィネに勤務。100軒を超えるワイン農家を訪問しワインの買い付けを経験。2014年コルクアート活動を始め、2016年に原宿Keisuke Matsushimaにてコルクアートの個展を開催。2017年2月よりKeisuke Matsushima支配人ソムリエ。

コルクアートを始めたきっかけはワイン会

久保|ソムリエの仕事を長く続けていくうちに、何となく取っておいたコルクを集めて何か出来ないだろうか・・・?とずっと思っていました。あるとき、10種類ほどのワインを一度に味わうことがあり、開けたワインのコルクをグラデーション順に並べてみました。「綺麗だなぁ。この濃淡で点描画って描けないかなぁ」と思いつき、知り合いのデザイナー・ハヤシコウさんに相談をしました。その頃、ちょうど「ブルボン王朝の歴史~ルーヴルやヴェルサイユの成り立ち~フランス革命~ナポレオン帝政にまつわるワイン」というシリーズでワイン会を行っていましたので、その会の締めくくりとしてコルクで描いたナポレオンを披露できたらご参加の皆さんが驚くだろうなと考えました。

制作の順序

コルクに染み込んだ色で表現するため赤ワインのコルクが重要となります。簡単にお伝えすると次のようになります。
1、 コルクを収集。個人のワイン愛好家、レストラン、ワインスクールなど多数。
2、色の染み具合を仕分け(現在11段階)
3、木枠の作成 額縁、表面のアクリル板の準備
4、モチーフの人物を決定
5、デザイナーさんに下絵を依頼
6、出来上がった下絵をもとに、コルクを積み上げ描いていく。
7、木枠表面にアクリルを貼り、額装して完成

制作する上で難しい点は?

久保|描きたい物に合うコルクの色が都合よく集まらないのが最大の難点で、特に色の濃いものほど数は集まりにくくとても貴重です。コルクの色もひとつひとつ異なり、また形も乾燥すると膨らんでくるので正確な円柱形ではありません。そのため積み上げていくと湾曲してしまうので、これらのことも計算しながら、互い違いにまっすぐ積み上げていく工夫が必要となります。また、長期熟成されたワインのしっかり色づけされたコルクは色が抜けにくいのですが、染みの浅いものは経年で色あせしていきますので、これも計算して配置しています。組み上げては、少し離れた位置から眺めてみては色を確かめ、を何度も何度も繰り返しながら、下絵に近づけていきます。いつも最後までドキドキするのは、コルクの在庫とうまく折り合いをつけるところ。

特に絵心がなくても大丈夫

久保|ノウハウ自体は設計図があり、材料もありますので誰でも出来ます。2400ピースのジグソーパズルのような感じです。ただし、同じレシピでも作る人によって仕上がりが違うように、例えば5番と色分けしたコルクパレットの中にも微妙な濃淡がありますので、組み方によって出来上がりは異なり面白いところです。

ワインのコルクを抜いた瞬間の今を大事にしたい

久保|今はどんなワインにも興味があります。出会ったワインのそれぞれが生まれた土地や、どんな人が造っているのか?とワインの楽しみは想像するところから始まっています。ワインのボトルの中には、土地や人々の営みの集積であるいわゆる「過去」が詰まっていると思っています。そして、誰と飲むか?どこで飲むか?というのが、ワインを手にした人の「未来」と言えましょう。さらに、過去と未来の境目にあるのが、「コルク」だと。コルクを抜いて、気の合う仲間や家族との食事をする瞬間が「現在」で、この時こそがワインが生み出すコミュニケーションの場、そのものが僕にとってはとても豊かさを感じる時間です。

好きな画家は?

久保|幼少期、山梨県立美術館の庭園が遊び場だったこともあり、ミレーとかロダンを見ると懐かしさを感じるほど絵画や彫刻は身近にありました。好きな絵画は、アトリエから出て自然の光の中で描かれた風景画です。そう、印象派。この時代に、持ち運びできる絵の具が生まれ、鉄道に乗って画家が旅をするようになり、自然の心地よさが絵画に加わるようになりました。

コルクアートで今後、表現してみたいことは?

久保|これまではフランスワインが好きということで、フランスにまつわる人を選んで制作してきました。今年は方向を転換させ、日本人の表情や感情を世界の人達に見て貰おうと考えています。次作のモチーフはファッションモデルとして活躍した山口小夜子さんです。

新見寿美江(にいみすみえ) wineplat 編集長出版社(有)新見工房専務取締役。1988年編集プロダクションとして(有)新見工房を設立。主に海外・国内旅行ガイドブックの取材・編集を数多く手掛ける。2015年出版コードを取得。編集発行人として会社経営の傍ら、エッセイスト・著者として活躍。主な著書『韓国陶磁器めぐり』『韓国食めぐり』(JTBパブリッシング刊)『スイスアルプス・ハイキング』(共著・JTBパブリッシング刊)他。主なエッセイ『元気になれる韓国食紀行』NHKラジオテキストまいにちハングル講座に1年間連載。通販生活など多数。
記事の先頭へ